羽ばたく日があれば



そのひとふしは
這うがいい
腹にこめた力を
そのまま
大地にさらすがいい
やぶがらしみたいに
地を這い
やぶをからめ
森をからめ
晴れわたる潮来街道の
首なし地蔵尊を波打たせ
さびれるばかりの
商店街のシャッターを波打たせ
草刈り鎌に燃えのこる夕焼けを
波打たせ
夜はフクロウだって
だまって打たれているだろう
うたはおごそかに
翌朝へ持ち越して
たんぼばかりの地の果てから
這うがいい
あかるい悲鳴の畝を
ひとつあがって
さてつぎのひとふしは
腹這うそいつの背中を踏台に
さらにのびやかに
きょう一日をはばたくがいい