■芭蕉がとぶ




夢の千年 ついえて今に
さびれ白河 関の跡
越える手もなし けもの道
しばし詠(うた)うべからず 猿(ましら)のごとく   
翔ぶぞ 翔ぶぞ 芭蕉が翔ぶぞ
わびさび捨てて 東山道(とうざんどう)


夕べ血の色 けさ涙いろ
明神峠は夏模様
河合曾良どの 筆納め
しばし語るべからず 忍者(しのび)のごとく
翔ぶぞ 翔ぶぞ いまこそ翔ぶぞ
杖差し たぐれ 蝦夷の雲


北へ千里の夢橋かけて
いっそ渡ろか 竜飛まで
破れ僧衣をひるがえし
しばし念じべからず 阿修羅のごとく
翔ぶぞ 翔ぶぞ あしたへ翔ぶぞ
旗宿(はたじゅく)山野(さんや) つむじ風