■冬、水戸街道


江戸から北へ 水戸街道
関東平野の向こう傷
すねに傷もつ俺にゃ似合いだが
さむらい姿を装って
おんな 腕組み
道を潮来へはずれ旅


アオサギ一羽 牛久宿
枯れた芦野で風を編む
舞うは はらはら 雪はおんな文字
男にゃ読めない筋書きで
けむに巻く気か
筑波の山は雲のなか


お先にごめんと 声かけりゃ
コンとうしろで 咳をする
雪はやんだが 船頭どこにいる
岸辺の小舟をゆさぶって
風が渡るよ
霞ヶ浦で待ちぼうけ