■ShinagawaYakuza 品川やくざ





やくざが風切る界隈の
通りを若僧 引かれ者
がんじがらめの捕り縄が
さぞや無念の馬の上
今がこの世の見納めか
鈴ヶ森から さそい風


袖口 風にふくらませ
なにげなさそに 岡っ引き
境の橋行くあきんどを
呼びとめ 小突いて さぐり顔
あぶねえ野郎はてめえだろ
尺五の十手がでかすぎら


たまには艶めく話でも
よかろうと気張って奢り酒
聴けば女は もと賊徒
「ねずみ小町」ときやがった
月が照らした脛の傷
あすは多摩川 越えるとか