■夢、語らず







かなしいクセだね 立ちどまり
風の声聴く
どんなことばもむなしくて
肩をすぼめた弱気な獣
爪を立てずに 牙を隠して 
ビルの暗がり
昼の月など うつろに眺め
心 はぐれもの


おとぎ話に惑うほど
若くはないけど
花をさがしてあてどなく
歩く日もある孤独な獣
ついてくるなよ どうせ地獄の
泥にまみれる
背中のくぼみを冷たくたたく 
風の声を聴く


夢、だきよせて 夢を語らず
夢、くちづけて 夢を語らず
語らず…