新宿の女2/2



そいつの女房が高校生みたいなヤツとできちまった
ころしたい人間にはことかかぬってわけだ
女はケーキをあと一口のところで残した
ころしたい親が住む家へ帰るぶきっちょな女と
ひきとめる才覚もない無粋な男が駅へいく
話を聞いてくれてありがとう
そう そのお礼がいい おれはなにも頼まれなかった
だれもころさなくていいのだ
気をつけてな
そらは、と訊いた男たちが四人 横につらなって地下道へ下りていく
地獄にも星はあるかい
でもまあ人生が好転しそうな気がするな
だれが
あなたが
それならいいわね
女は目でわらって改札口を入り
ふりかえって小さく手をあげた

2016.12