さくもつB


つくられるものの
つくられかたを
畝にねかせる
あたりまえの読点の
二倍の間をおいて
つくられるもののつくられかたを
畝にねかせる
土をかぶせ つくられかたを
ひとまず日光から隔離する
畝にならぶのは つくられるものでも
つくられかたでもなく
ひらすら孤絶の意味をつぶして
日々をすごす
つくられかたは地中にあって
土をつらぬき土を把握し
独裁者のテントのごとく
それぞれに小なる大地を築く
もぐら頭をかかえたやつが
たまに通りかかるが 頓着しない
気もないくせにからだをすりよせる芋虫など
もってのほか
よって畝に不義理がごろごろ横たわり
白眼の光をあび
雨もざあざあ降ってきて
「あっというまに」
とあそぶこどものひとりもないまま
やがてつくられかたが土を分けて顔を出す
気の早い花虻がとんでくる
愛すべきは文脈をそれて生る実だが
さて なにが実るか
とりあえずの花が咲く
しばらくはとりあえずの花をめでるため
テントのすそをからげ
地上のまずしい人になる