雨はどこを降る
ひだりの耳のひろがりを
ついに鳴らぬ鍵穴を
闇のなかでの挨拶を降る

雨はなぜたたく
ひふの記憶を
めくれあがる高さを
うしろ手の火をなぜまたたたく

雨はいつぬらす
立ち去るばかりの宣告を
儀礼と棒のあわいを
いまつかみあう自由をぬらす


詩:仲山清 曲・うた:辛鐘生
詩篇「雨」=詩集『サイキ』
『悪い夢』OFFICE KON 2001