アオサギ一羽、常陸ひたつ国
枯れた芦野に風を編む
雲がふたする水戸街道
家並はとぎれ、はらはらと
つかのま、をんな文字の雪
書き手いずこの恋てがみ
凍てつくみず田、地の果てへ
まろぶばかりに顔ふせて
ひとは行きずり、水戸街道
会釈を返し、ふりむけば
蓑、杖、分け荷、かげりなく
わかき絵師やら、背に薫陶かおり
江戸から北へ十五里の
関東平野の向こう傷
雪で冷やすか水戸街道
咳する声にいぶかれば
筑波背にして立ちどまる
すがたさむらい、女人にょにん旅
注 〈仮歌〉の歌詞と異なる部分があります。