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AImusiC ブラッドベリのように

10曲■ブラッドベリのように■嗤いザクロ■Midnight Spiral■ザ・ムーンロバー■雨ざらし■IREZUMI 2■黒門町の雨あがる■CHINPIRA 2

作詞/オーディオ編集:K.SichiRi


猫にも風にもきらわれて



おれがきらいな町は 町もおれをきらって
シャッター街のザラザラな
背中ばかりを押しつける
おれはこの町がきらいだぞ
町もこのおれがきらいだぞ

おれと町のあいだを 風が通りすぎてく
トゲトゲ増やすためにだけ
ホイサ ホイサと風が吹く
おれはこの風がきらいだぞ
風もこのおれがきらいだぞ

おれと町のあいだを いつも腹をすかせて
ノラ猫が歩く のそのそと
意味不明な ウインクして
おれはこの猫がきらいだぞ
猫もこのおれがきらいだぞ
 ★
おれはこの猫を町長と呼んでいる
町長、と呼べば振り返るけど
そそくさと古い空き家へ逃げてゆく
「用もないのに呼ぶな!」
って顔をして
「あたしゃあ、チョウじゃないよ!」
って顔をして

そういえば……
 ★
おれのところの狭い庭のヒカゲチョウだが
毎日まいにち 黒焦げ日の丸ひるがえす
おれはヒカゲチョウをいとおしむ
九・一一があってから
ほかの蝶々は全滅さ

おれはこの町がきらいだぞ
町もこのおれがきらいだぞ

おれはこの町が だいっきらい

五右衛門・吉三 GOEMON vs KICHIZA



(お嬢吉三)
もしやそなたは 石川の
五右衛門殿か
娑婆と地獄は地続きなれど
七条河原で釜茹でされて
なにゆえ信濃路くんだりで
六方踏んで気どってる
伊那の谷川 見くびって
落ちりゃまたぞろ地獄だよ

(五右衛門)
こいつぁ奇遇だ 同業の
弁天小僧
男吉三が いなせをすてて
赤いべべ着て 流し目 浮世
ひたいの三日月塗り消して
品をつくるも 菊之助
すね毛晒して お嬢とぁ
聞いてあきれらぁ 笑わせら

(お嬢吉三)
相も変わらず ごてごてと
むさくるしいな
重ね草鞋に ビロード褞袍
頭ぼうぼう 百日かずら
朱鞘の大小 泣いてるぜ
キセル雁首 櫛にして
長いもみあげ 撫で上げる
芝居がかって しゃらくせえ

(五右衛門)
ここで会ったが 百年目
聞かせてやろか
閻魔の使いで 善光寺さまへ
伊賀流忍びで奥殿深く
血脈けちみゃく ご印を盗みだす
旅は道連れ 世は地獄
地獄風呂より 娑婆の風
五右衛門吉三で 参ろうか

ブラッドベリのように




森へ何かがやってくる
肩をすぼめた木々のこずえが
聴きなれぬ足音にふるえている
枝葉はあせって
炎にまみれたトカゲを産み落とし
けものの耳にも熱い息が吹きかかる

ただの南風、ではないんだな
若葉が萌えるだけ、ではないんだな
たまごを孵らせる、だけじゃないんだよ
そいつのせいで
つみとられる命もあるんだぞ
そいつのせいで
つみとられる命もあるんだぞ

ついにそいつがあらわれた
どこのだれやら見知らぬ顔で
薄ものの紫のマントを脱ぐ
磨きこまれた
ステンレス仕立ての手品師の手つきで
木肌に緑のキバを植える ツノたてる

彼はささやいた「ぼくの名は…」
だれにも聞きとれぬ 名まえを告げる
木立はうっとりと背伸び しなだれる
そいつのせいで
つみとられた命がまたひとつ
そいつのせいで
つみとられた命がまたひとつ
*  
そいつが放つ
まぶしさには敵わない(*くりかえす
*
南の風に
なでられるまま立ちつくす(*くりかえす)
立ちつくす
年老いたブラッドベリのように


嗤いザクロ



去りゆく夏をごくりと呑んで
息をとめ(息をとめ)
ザクロは大口あけてワハハとわらった
悪魔みたいに大口あけて
ザクロがわらった

笑いのツボにはまったわけなど
知るもんか(知るもんか)
ザクロはころげてわらい 皿から落ちたよ
飾りに添えた笹の葉っぱは
ウサギの耳だよ

ウサギの耳を覗いてみれば
火の海さ(火の海さ)
皿には記憶の竈 土から瀬戸へと
生まれ変わりの熱気を浴びて
フロアに伏せった

わらいごえを聴きつけて
おまえは ひげをそったけど
顔は見せなかったな
わらいごえを聴きつけて
靴を履きかけたけど
ドアをあけなかったな

通りがかるだれかが
つられてわらう わらって逃げた
わらいざくろは
つかれてふいに無口になった
吐き気に吐き気
吐き気が吐き気 吐き気も吐き気

大口あけて 夕焼けを
吐き散らしたな 秋たけなわの
生まれ故郷に つぶつぶざんざ
夕焼けひとつ
生まれ故郷に つぶつぶざんざ
夕焼けふたつ

おれの天使よ 無事でいるなら
鼻をつまんで 帰ってこいや
おれの天使よ こころあるなら
鼻をつまんで 帰ってこいや

Midnight Spiral









恋はいつでもキュルキュルキュルル
らせん階段 ガラスの手すり
めまいがうれしい星になる
ひょっとして 宇宙の塵かもね
いいさそれでも
かわいいきみを
抱いて今夜もキュルキュルキュルル


ちょっと聴きたいキュルキュルキュルル
昨夜の電話はあやしげだった
だれかといっしょにいたのかい
なんだかね 口調がよそ行きで
つめたかったよ
ひとことほしい
甘いささやきキュルキュルキュルル


夜の都会をキュルキュルキュルル
らせん階段 からだをあずけ
ふたりでひとつの星座だよ
だまされたみたいにキラキラと
夜をかざるよ
だましてほしい
キラリキラキラ キュルキュルキュルル


ザ・ムーンロバー








赤い月が出たぞ
冗談半分 赤い月
赤い月が出たぞ
どろぼう館の松の陰
まことかウソか 黒いタネ
背中まるめて選り分けろ
おもての苗の植えつけは
手もとを隠して終わらせろ


赤い月が出たぞ
ほんきが半端な赤い月
赤い月が出たぞ
どろぼう館の妻廂
カラカサタケの風もきて
いきなり家族をのぞきこむ
あなたはどなた 白い顔
どこのだれなの あおい顔


赤い月が出たぞ
口だけ殿様 赤い月
赤い月が出たぞ
どろぼう館の屋根の上
たもとに両手を引っ込めて
やたらに後ろを振り向くな
瓦をさぐる顔をして
梯子を架けろ 月どろぼう



雨ざらし










あのひとを忘れたふりで
雨が降る
忘れたふりで灯がにじむ
ふたりで通った お洒落なパブ
お酒教えた いけない あのひとを
酔って忘れる なあんて できるかな
いいえ それはムリ 心は雨ざらし


あのひとを忘れたふりで
お代わりの
メロウなお酒 いただくわ
冷たいグラスに流れるジャズ
耳を火照らすささやき ゆらめいて
だってからだがいまでもおぼえてる
なみだ色の星 流れた夢の夜


あのひとを忘れたふりで
雨がやむ
忘れたふりで 街かわく
お酒でつぶれて むかえる朝
一人ぽっちでさまようビルの谷
切り絵みたいなじぶんの影を踏む
あなた どこにいる 心は雨ざらし

The IREZUMI








おっとっと いきなり おおげさな
暑くもねえのに 二の腕めくり
刺青ほりもの さらすとは
たいした度胸 言うてみよ
言いたいことを
聞く耳ふたつ とり揃えて
ござんすよ


おっとっと 待ちねえ 柄に手を
かけちゃあ共々 あとには引けぬ
妻子(さいし)は おるのかい
覚悟があれば 抜きなされ
日のあるうちに
始末をつけて とむらい酒
いただこか


おっとっと こいつあ まいったな
おぬしの腕では 犬さえ斬れぬ 
強がり そこまでだ
刀を鞘に もどされよ
気づいておるか
おぬしを斬れば 刺青にも
傷がつく


黒門町の雨あがる









黒門町に風さわぐ
ひょろろひょろひょろ 風さわぐ
大看板の烏凧 目をまわす
桶屋の桶とぶ 柄杓とぶ
火消が火の見で町屋を見張りゃ
枝垂桜の鐘撞堂で
和尚さん 衣を押さえてる 飛ばされる


黒門町に雨おどる
どんどどろどろ 雨おどる
三味線堀も撥荒れて 渦を巻く
米屋はネズミをたたき出す
糸屋の娘は照り雛こさえ
親に内緒の願掛け 吊るす
和尚さん かんざし隠しとけ 櫛隠せ


黒門町の広小路
やんやがやがや 人が湧く
雨風やめば 待ちかねた 屋台店
傘見世通りの とっぱずれ
売り娘に魅かれてスゲ凧買った
空に揚げずに 子連れにあげた
和尚さん お堂で南無阿弥陀仏 経あげた


CHIMPIRA 2










山は御嶽 木曽川沿いは
木立葉陰にわらじをゆるめ
ほおばる茶店の五平餅
さんしょがサ ピリリとサ
 きいてるね
腹ができれば ちんぴらやくざ
かっこつけてヨ かっこつけてヨ
三度笠


飯田街道 早打ち駕籠を
追ってきたよな時雨にまどう
女はどこぞへひとり旅
ほどけそな 絎けひもが
 気になるね
ちょいとのぼせた 野郎の夢も
えらぶ旅籠で えらぶ旅籠で
位負け


奈良井宿から木曽架橋へ
渡るわらべの花かんざしに
おもえば妹も年ごろよ
土産はサ 藪原の
 お六櫛
雲の流れに 逆らう旅路
雪も近かろ 雪も近かろ
ふるさとは

Qua~ Qua~
Ha~



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