AImusiC

AImusiC ニワトリ島

6/8曲■はぐれ流氷■墨絵師日記抄■寒の川■生き延びるヒカゲチョウ、そのほか■ニワトリ島■木綿駅のひと

作詞/オーディオ編集:K.SichiRi


●はぐれ流氷★Song






北の岬に 憧れて
海を訪ねて来たものを
この世隔てるケアラシに
ひとり旅人 立ちつくす 

寄せる波さえ凍てついて
イワシころがる 冬浜辺
ふねは舳先を寄せ合って
さびれ港に影細る

はぐれ流氷 だれの夢
春に消えると知りながら
ユキホオジロがころげ飛ぶ
旅の果てには なに残る

息であたため つつむような
北のことばのやさしさよ
命つなげる 町の灯が
ともる夕べに 涙する

もしや暮らしていけるかと
さすらいびとの気まぐれさ
オジロワシさえ逃げ惑う
あすも大しけ 北の町

●墨絵師日記抄★Blies







破れ雨戸をガラリとあけりゃ
ふすまふるえる わび住まい
着たきり雀の胸かきあわせ
しなびた草履 素足に履いて
朝餉かまどに火をつける
絵にもならない絵師ぐらし


水の青さも うろこの銀も
墨で描いて彩な色
扇子いっぽん ひらけば無限
恃みの筆に墨ふくませて
しばし無となり 叶うなら
墨のしずくと 生まれたい


絵筆くわえてながめる月は
雲をさばいて山にあり
青ざめながらも光は冴えて
驕るな 退くな 諭すが如し
あすの屏風に登らせて
月を竜虎の眼に宿す 

●寒の川★Song







あなたに見送られ
わたしは雨になる
見送るひとの 涙の雨になる
憎んでも 愛しても
ここで想いはいきどまり
岸も見えない 寒の川


あなたに背を向けて
わたしはみぞれ橋
さむざむ渡る 思い出つれていく
うしろ髪 ひかれては
雪をいただく枯れ葦に
舟をさがして またまよう


墨絵の雪景色
切り裂く舳先には
琥珀のいろに 鳥さえ凍えてる
 知りそめた日に帰る
羽があるなら 寒空を
夢のあなたへ 飛んでいく



●生き延びるヒカゲチョウ、そのほか★Folk song



おれがきらいな町は 町もおれをきらって
シャッター街のザラザラな
背中ばかりを押しつける
おれはこの町がきらいだぞ
町もこのおれがきらいだぞ

おれと町のあいだを 風が通りすぎてく
トゲトゲ増やすためにだけ
ホイサ ホイサと風が吹く
おれはこの風がきらいだぞ
風もこのおれがきらいだぞ

おれと町のあいだを いつも腹をすかせて
ノラ猫が歩く のそのそと
意味不明な ウインクして
おれはこの猫がきらいだぞ
猫もこのおれがきらいだぞ
 ★
おれはこの猫を町長と呼んでいる。「町長」
と呼べば振り返るけど、そそくさと古い空き
家へ逃げてゆく。「用もないのに呼ぶな!」
って顔をして。「あたしゃあ、チョウじゃな
いよ!」って顔をして。

そういえば……
 ★
おれのところの狭い庭のヒカゲチョウだが
毎日まいにち 黒焦げ日の丸 ひるがえす
おれはヒカゲチョウをいとおしむ
三・一一があってから、ほかの蝶々は全滅さ

おれはこの町がきらいだぞ
町もこのおれがきらいだぞ

おれはこの町が だいっきらい

ニワトリ島★Bluegrass




鉛色した都会の空から
線香花火の夕陽がポトリ
落ちて 燃えるよ 太平洋が
ギン、ギン、ギラギラ
ギン、ギン、ギラギラ

まっ赤な津波に ぼくらはさらわれ
着の身着のまま ニワトリ島へ
そそり立つのは トサカの山さ
ビラ、ビラ、バンバン
ビラ、ビラ、バンバン

ニワトリ島には ニワトリどころか
鼠一匹 ミミズもいない
渡り鳥さえ 見て見ぬふりさ
コ、コ、コケッコ
コ、コ、コケッコ

ニワトリ島の トサカの山から
線香花火の夕陽がポトリ
落ちて 燃えるよ ニワトリ島が
ゴ、ゴ、ゴゲッゴ
ボ、ボ、ボッベボ

(以下、2回くりかえす)
ニワトリ島から ヤキトリ島へと
うまれかわって 漂流するよ
どんちゃん騒ぎの 太平洋は
ギン、ギン、ギラギラ
ギン、ギン、ギラギラ

木綿駅のひと★Folk song






素顔をうずめた
スカーフはぐように風そよぐ
改札口のあのひとは
かなしいひとこと したためて
春早く つゆと散る
「かあさん 憎いあんたの
そばにゆく」


改札口ぬけ
旅するおひとになったのか
それともひっそり一輪の
スミレになったか かおりやら
光だけあふれてる
「かあさん ただひとことの
うたもない」


木綿で仕立てた
駅ならやさしい手のひらで
涙をぬぐってくれたのに
笑顔になれずに旅立った
あのひとのつぶやきは
「かあさん 憎いあんたが
なつかしい」