くもがたの 1/2





くもがたの




くもがたの
と そのあとに
だんな とつけくわえられそうな
呼ばれかたをして
ふりかえったが 声のぬしもなく
信号待ちの空は くもがたもなにも
ただひたすらまっさおなばかり
だがなんのまねやら
赤信号をともしたなりで
鉄の橋がしずむじゃないか
世事にうとい偽くもがたに
わかっているのは
情緒にもたれて身を持ちくずしたやつらと
縁を切り
橋を渡り
川の堤を背に
ゆるい坂をバイクでせかせかくだっていたこと
さらに くもがたといえば
定規のほかになにがあるのか
おれは くもがたでも
じょうぎでもない
とひらきなおり
おのれのからさわぎによろめき
まっさおな冬晴れ
落ちた鉄の橋と信号灯をさぐろうと
ハンドルを切りかけ
いや もしや
いましがた呼んだ声は
橋を渡りきるまえに