ぬれていてくれ 2/2




そして冷却するために
地獄へ通じるドアをひらく
寒々としたともしびが
わが河のおもてにこぼれ
白い息をうつむかせてやってきた客のしめっぽい手を
おれは声もなく握りかえす
ぬれたままでいてくれ 火がつかぬように
火照ったおれの爪先はすでにすぼまり
闇の底の水を吸いはじめている