シャガが飛ぶ



きっかり正午
シャガがとんだ
首をはねられた
というのではない
ながながと痛みをつるして
シャガがとんだ
正午
という時刻を
ヤマカガシのようなやつがあゆみ
くちへらずな釣りびとがひとり
群青の闇に
織りこまれた
町が鳴らす時報のサイレンは
聴かなかったが
シャガがとぶ音は聴いた
耳をうったのは
水の音
透きとおって枯れるまで
水と紙ひとえの
シャガを知らないか
正午 空を切って
シャガがとんだ

どこへとんだか
消えたおとこに訊け
シャガのあしあとに立ってとべ
ありふれた日々の
痛みをつるして