■ながれもの草紙








一膳飯屋で冷酒あおる
五臓六腑の だまし合い
地獄めぐりだ きょうもまた
赤いけだしの姐さんは
銭のなる木へ まねき猫
賭場でつぶれて すっからかん


あだ討ちならば お相手いたす
逃げも隠れもせぬわいな
とんださわぎだ 蔵前の
ここは聴かないふりをして
三途の渡しの 厩橋
わき目ふらずに 渡りゃんせ


そろそろ雨だな 湿った風と
バカに厚着の 夏の雲
徳利かかえりゃ 安宿の
壁も震える かみなりの
音にころげて 夢を見る
関所破りの 夢を見る