■猫と竹光





利根の流れを 行き交う舟は
浮いて浮かれる 木下茶舟きおろしちゃぶね
湊で女がからまれて
ちょいと口出し助け舟
いいさ気まぐれ 恩義など
風にちぎれて とんでゆけ


生まれ犬吠いぬぼう 吼えつく波に
育ち ひたすら 眠り猫
さむらい風情は 見かけだけ
目立ちたがりの朱塗り鞘
正味 竹光 樫の棒
やわな男のつっかえ棒さ


荷役若衆 暑さに負けて
背中まるめて よしずに逃げる
飯屋のおやじが水を遣る
女 鹿島へ 舟でゆく
手前は江戸へ 鮮魚なま街道
カラストンボと 迷い旅