雨はぽつぽつ どこをふる
おれの背中の闇をふる
背中の闇になにがある
訊くな さぐるな 立入るな
さらに湿って重くなる
闇は病か 暮之介
雨はひたひた どこをうつ
合羽 振分け 笠をうつ
街道筋の畔草に
翅を濡らした秋津虫
走れいかづち 西東
刺され稲妻 暮之介
雨はざんざか どこはたく
無念晴らせぬ ほほはたく
赦す赦さぬ 迷い雨
消えぬ炎の彼岸花
山野に飛び火 燃え募る
雨と炎と 暮之介
雨のしずくの三度笠
ふちをつまんで見あげれば
オオタカ高く 悠々と
おれは野分のぬれ鼠
喰われてやろうか 旅の果て
雲に陽ざしの 暮之介