■残光ありて暮之介 Lingering Light KURENOSUKE







雨はぽつぽつ どこをふる
おれの背中の闇をふる
背中の闇になにがある
訊くな さぐるな 立入るな
さらに湿って重くなる
闇は病か 暮之介


雨はひたひた どこをうつ
合羽 振分け 笠をうつ
街道筋の畔草に
翅を濡らした秋津虫
走れいかづち 西東
刺され稲妻 暮之介


雨はざんざか どこはたく
無念晴らせぬ ほほはたく
赦す赦さぬ 迷い雨
消えぬ炎の彼岸花
山野に飛び火 燃え募る
雨と炎と 暮之介


雨のしずくの三度笠
ふちをつまんで見あげれば
オオタカ高く 悠々と
おれは野分のぬれ鼠
喰われてやろうか 旅の果て
雲に陽ざしの 暮之介