煙の皮膚/考

詩:高橋昭八郎/朗読:山中真知子

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煙のかたちの<本>をつくること

かたちにならない
形の
ページの
ひろがりを
――見えない記憶のふるえ
影の
フロッタージュとして
ひらく 閉じる 折る
ちぎって
みる
あるいは半ば ひらかれながら
流れていく余白
として
煙の闇 煙のけぶり
煙の透体
煙のホチキス
煙の修道院
煙の卵
煙の境目
煙の解剖台

煙の けむり
煙の
ように見えるもの
芽の 匂いの 霞の 靄の 霧の
毛などの
苦悩の 妄執の 洞を

火葬ノ煙ヨリ転ジテ、死シタルコト の意味のゆらぎを
わらいながら さて

煙の行方を
つついてみるか

煙のかたちの <本>をつくること かたちにならない
形のページの
ひろがりを