泣いている鬼

詩篇:高橋昭八郎  朗読:山中真知子

テーブルの上に
置き忘れられた
ひとつのコップ
あるいは窓から
見えるあの一本
のこぶしの樹が
泣いている鬼の
姿であることに
だれも気づいて
いないガラスの
ようなその不思
議さを真昼の陽
ざしがまたいっ
そう明るくする