薄暮/岡堰
ときに、ゆうぐれ
大気がひときわかがやく一瞬がある
こわれかけたものが
ついに最後の瞬間を迎える直前
能力をこえる力を発揮するみたいに。
視界から風景が消える
いっさいの物音が消える
それがあまりにも短い瞬間なので
ひとはあたりまえのように樹など見ており
あたりまえのように鳥のこえなどを聞いている。
そうして知らず知らずのうちに
夜への心がまえがきまるのだろう
日没のどこかで。
夢のかたちをととのえて
ものたちが あすへの秤に
そっと身をのりだすひとときである。