火の手

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 火の手


動物園のオリのなかで
あるいは荒野で
背からずぶずぶ沈んでしまいそうな
へんに弾力性のある夜の岩にしゃがみ
おれこそ未来に生きのびる
たった一頭の気がして

はるかに火をつけ
つけられるやつ
人類のおもいでよりも
高く 清潔な火の手をあげて帰ってくるやつ
その火をかぞえ おれの目は
うるんだ砦
砦を越えておれを抱きしめた火よ
それきり夜の岩をはなれなかったのは
火を交わらせぬため
火と火のあいだの闇を行く
最後のたましいのため
岩があり ふたしかな
岩のうえにかろうじておれがいて

おれはまたもゆすぶられる
荒野で
オリのなかの蒸れた片隅で
つめたい手によって