壁 壁のまえの 壁をたててやりながら その壁と対になって なんとなく壁のようである 壁と壁のあいだには もういちまいの壁がおちこんでいて 鳥などが 首ごとわすれさられている どの壁にだか ときに はげしく しょうべんをひっかける さびしいおとがする けりをつけようじゃないか どなれば おもいがかない壁までが どなりかえす けりをつけようじゃないか 鳥のぶんだけ まえにでろ どこの壁だか やくざなことをいう つめをたてても おれをたてる壁はない