大男

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 大男




わすれない岸辺で
おおおとこに会った
夕陽のようなまなこが
さだまらないふたつ

「許した」と
かみなりよりも遠い声でいった

ハンマーひとつで
許せるなにがあったか
おれはしらない
だが じつにほらあなのような
おおきなおとこだった

「どこか 釘でも打ちに
 いくよりしかたがない」
おおおとこは
ふりむきもせず
あの川をまたいで行った