象と逢う朝 いつかまた象と逢えるのだと ぼくが生きているばかりに 象のゆめしか見たことがないかあさん 象と象のたわいないあいだで 酔いつぶれるかあさんをしりめに あらそわなければならない 二頭ぶんのりくつもあるのだ かあさんの悲鳴はもう一頭の 象のかたちをとるだろうし 三頭の象は鼻をぶらぶらさせて いるだけだろう ぼくのむすめがはじめて 象と逢う朝 象とさえつながれていない象とつながれた かあさんのしわだらけの腹に 千頭の象よりもいたわりぶかい 目をむけているにちがいない ほんとうの象よ ほんとうに象なのよと