星とライオン
ゴーゴリの時計はほぐれていった
C夫妻の旅がはじまった
(ロシアを小さくしていたのはトイレの行列の長さである)
八年目のプラネタリウム
時は死んだ
魂はよみがえった?
C夫人は若いかれに謎々なぞひとつ
ライオンのたてがみは
なんであんなにふさふさしているかご存じ?
はてな とかれは
たてがみのない首をまずしくひねった
雌が噛むからよ
あぶないあいぶ
すすけたフジヤマのむこうに
ぎょろっとした太陽が没む
満天の星の椅子を渡り
雌ライオンが爪をたてた
豊かなたてがみをはやした手に
C夫人の頬とまぶたと唇と耳がうずくまる
それからかれは
うぬぼれやさんのやわらかい
首を絞めた
にせの夜明けがせまっていた