きみ自身にはわからない
いのちなんていう
見えもしないのにやっかいで重いものを
だれかがはずしてくれたんだわ
かるいとおもっているのに どすんと
この世のものでない はずかしい音をたて
きみの体重がきみにおそいかかる
きみは全身が足のおやゆびくらいにまで
ちぢまるのを感じる
きみは少なくとも
二人分の体重を受け入れなければならない
たまらずいのちがひざのあたりからめりこんでくる
折りたたみいすを広げるみたいに
骨組みが間合いをとり
筋肉がととのえられる
まるで空中のいすからすべりおりた人か
背筋を伸ばして立っている
こんなポーズをとるつもりはさらさらなかったのに
いまうしろには
かつて超えたことのない四角いかたまりが
四角いままであるだろう
だがそのまたうしろの世界のどよめきには
ブーケが添えられている
きみは自信にあふれた真っ赤な顔を
そちらに向けようかどうか迷っている