雨と設計士1/2





雨と設計士



雲形定規から私語をとりのぞく
とりわけ独りごとを
腐りかけた野菜を
ひえきらない魂をひきぬく。
庭園のなかの水路をふちどる曲線は
新鮮でなおかつ
かわいていなければならない。

雲形といいつつ
雲にはありえない鋭角をかかえ
といをながれる雨音のようなものが
折れ曲がって男にささやく
しね、と。

私語がやむ
独りごとも
せきばらいも。
雨どいのながれの音も
尻すぼみに立ち消え
いちまいの雲形定規がつっぷす。

名をふせる まずおのれの名を
すべてのものの名を。

トレーシングペーパーの描線は
ころがるぬくもりに つまずきながら
電動消しゴムでととのえられ
はねのほうきで清められる。

かきあげられた庭園は