雨と設計士 雲形定規から私語をとりのぞく とりわけ独りごとを 腐りかけた野菜を ひえきらない魂をひきぬく。 庭園のなかの水路をふちどる曲線は 新鮮でなおかつ かわいていなければならない。 雲形といいつつ 雲にはありえない鋭角をかかえ といをながれる雨音のようなものが 折れ曲がって男にささやく しね、と。 私語がやむ 独りごとも せきばらいも。 雨どいのながれの音も 尻すぼみに立ち消え いちまいの雲形定規がつっぷす。 名をふせる まずおのれの名を すべてのものの名を。 トレーシングペーパーの描線は ころがるぬくもりに つまずきながら 電動消しゴムでととのえられ はねのほうきで清められる。 かきあげられた庭園は