包丁

  


洗っても落とせぬ
汚れをまとった野菜たちが
虫も殺さぬ顔をして育っていた
花鳥風月を嗤うやつ
由緒の緒を切り捨てた
傲慢な野菜たち
薔薇という名の少年はつぶやいた
「きたない野菜たちよ」  
そうしてその首を切り落とした

いまや 折り目の正しさと
正義は合致せぬ
饒舌をきらい
なれあいをきらい
結束をきらったが
ついに 天地神明に誓って饒舌であり
たがいに主犯従犯であるほどになれあい
殺意のもとに結束した
そうして菜っ切りは
みずからふるい立たせるせるために呼ばわるのだ

きたない野菜たちよ と