▼ いちばん下へ

詩 篇 2016

■もと魚屋が出前専門のすし屋になり 父親が握り 出前は娘が軽四輪を運転して出かけていく魚 屋

■覚悟を決めてはいるなら 出口もきちっと決めとけや金物屋からのぼる月


詩 篇 2015

■楓と名乗らず 木といわず ましてやひとと騙らず楓 Fuh

■ミルク以前の白 青いままの夕焼け鳥獣葬

■デッキチェアから斜めに身をのりだし、誤字の穴に手をつっこんで台本の背をつかむ。あぶねえ、あぶねえ誤字の蜂 ●タテガキ表示はこちら

■郵便配達が自転車を使っていた時代に…菜の花畑

■マスコミに、そして法廷で、Vサインを出して誇らしげだった殺人犯静かなる波

■錆をおとし あたらしい光の仮面をかぶる薄 刃

■菜っ切りと 愛称めく名が ときに気恥ずかしかったが包 丁

■こんなときは ウォシュレットのぬるーいお水がいいよねおれと単車とウォシュレット ●タテガキ表示はこちら

■弟が遺した<アフリカの赤>など紙の馬


詩 篇 2014

■世界が一個の海苔巻だった日悩裏魔鬼譚

■闇だけは いつでも新鮮だ竹 焼

■いそがしい人は 美味そうだ自転車どろぼう

■だれかしら思わず背伸びする そのたびに地面がぴりっと裂ける発 芽

■歌舞伎けわいのせなかがこわい…なのにナガメのせなか

■眼はビーズでいろ めざめてもろくなことはないぞ骨のない時間

■西陽があたる台所の不幸出 火

■なんばんめかのおんな、というかずがあたしに生まれてくるのは、そんなつもりもないのに嫉妬なのか動物園がゲートをひらく 3

■いっぴきのスズキも一棟のコンクリート・ビルも 毒にまみれれば同じこと坂の上の魚屋

■ぶどうは、その球体の水の底に、音色と怒りとを記憶し、いずれ、黒ぶどうの黒として発色する。黒ぶどうの黒

■帽子が合わないのではない 頭が合わないのだ影の子


詩 篇 2013

■野鳥の影もないさびれた町で少女たちのバス停

■血を血で洗うような夕焼けが 一頭まるごとおちてくる日牙の川


詩 篇 2011.3以前

■花が終わる冬には 町は脱色した芋になっているだろう重機がある風景

■お父さんのパンツを忘れるな水 神

■つめまで赤いくらげにおなりくらげのいす

■無名峠でながめる海峡は無名峠で

■去年の雨の階段をおまえとのぼる雨の階段

■街道がゆれる 辻堂の鐘が鳴る龍街道

■むすめのためなら何度でも 「ちくしょう!」とあかね坂

■勤めから帰ってきたらそこがわがやでなくて動物園だった、という日がやがてくるかもしれない動物園がゲートをひらく

■黒い棒でつながった二頭のキリン、一頭はすでに青鈍色のそら動物園がゲートをひらく-2

■ひとがいてもいなくてもどっちでもいいような季節が通りすぎようとしている赤い月

■くつのかたちのつぼみをつけて きいろい帽子の花をつけて植物群はねむらない

■さくさく 霜をふむ気配 さくさく ひとをふむ気配潮来街道

■写真と台本悪事を語りあうぼくらに快適な場所

■りんごに入っているひまなどないのに、皮をむく手の先から持っていかれるリアリティに欠けたいびつなりんご  ▲このページのトップへ

■種を宿して丸くなっているひとへの唐突な思いに足早になるMUTSUMIりんご

■楽譜は音をとじこめておく柵のようにみえるが、柵を逸脱するくらい音は自由でなくてはならなとんぼ譜

■トンカチの頭の硬い小さなトンネルにため息がこだまするトカトントンなんてきこえない

■渋柿をがぶりとやって顔を向ける 甘いとおもいこんでいる表情がうすらさむいアリゾナのシムノン氏

■あたりまえの読点の二倍の間をおいて つくられるもののつくられかたを畝にねかせるさくもつB

■輪廻の輪を藉りてあのひとを少しずつもちあげていく 季節はずれの霜ばしら輪廻の輪を藉りて

■かのじょに似ているが、いまは空気が抜けた浮き輪のようなものふくろ憑き

■サーファーは名前の青い部分を残して漆黒だあしたのサーファー

■大口あけてアケビが笑うとあけびが笑う日

■正面に農夫の丸い背中を鶏卵のようにおいて 稲田は果てしなく広がりカタコトの日本語で割れる卵など

■乗ろうとするわたしの背なかを吹きぬけて わたしが舟に乗ろうとする舟に乗ろうとする複数のわたし

■水溶性のひとたちが愛想もなく交じり合って、またそれぞれ別人として上と下へわかれていく水溶性のひとが階段を

■下宿人の高校教師のもとへ女生徒がくる。男と女のもやもやが階段から降りてくるけはいに心うごいた日々建築と音楽

■さぎは川から大気から もやをあつめて編まれたもののように白くゆっくりふくらんで寒の川

■ねじまげられた小さな鉄がかちとふれあう音をバラも聴いてばらがお

■おれは関東平野の朝陽をわすれて おんながもやにまぎれていくのをながめもやを、北へ

■澄んでおりましたな おぬしのことばになるまでは ガ行もザ行もコールタールもよごれ龍之介

■ひまわりにはへびがからんでいるんだぞ ト音記号みたいにな だからあんなに陽気なんだぞひまわり印のテロリスト

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■町の名、ひとの名をよびかわす波の上を、いまカワセミが飛んだ波がなくては魚も釣れない

■いきなり背中のウミを抜きやがった、とわらった。だれの背中のことか、わからずじまいだ鳥居から鳥居

■オレたちメジロは電気にゃ慣れない 枝のひとっところにじっとしているなんてできっこねえんだみずきのちんぴらやくざ

■線路にうずくまって若すぎるいのちを散らした女ともだちを想う朝プールサイド
■目の前にせまったのはじぶんの死体のようなものとびばこ
■ころしたい親が住む家へ帰るぶきっちょな女と ひきとめる才覚もない無粋な男が駅へいく新宿の女
■静電気のしみかな ふるえる月だよ磁気テープ工場の月
■ロシアを小さくしていたのはトイレの行列の長さである星とライオン

■バールのようなものさえあればバールはいらないバールのようなものでじゅうぶんだバールを手にした和尚さんが

■ものたちが あすへの秤にそっと身をのりだすひとときモノたちの日暮れ

■やまぶどうのつるもちからがぬけて はなしがちがう 森へどさりとおちてきたまっかな夕焼けからまれて

■おまえのほうへもぼっと火がつくまでにかさかさに乾くこと 春にたくしたせめてものねがい黄いろい家から

■雲みたいに泳いでいる町へいちどおいでよ烏賊町へおいでよ

写真+エッセイ+詩のようなものなど…

花の色を略すびわの毛皮/枯れ野にあり/房総のと黒  薄暮/岡堰

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